迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。

マンションのエントランスに入ると、そこはまるで豪華な一流ホテルのロビーのようだ。真夜中だと言うのに、スタッフが数人カウンターの中にいる。

そのスタッフは唯達が入って来たことに気がつくと、こちらを向いて姿勢を正して、深々とお辞儀をした。

カウンターの中央にいる男性は微笑みを浮かべて、私達に話しかけてきた。


「こんばんは、橘様。お帰りなさいませ。」


蓮のことは知っているのだろう、兄弟なのだから度々来ているのだろうと思った。

唯は蓮に向かって小声を出した。


「ねぇここにはよく来てるの?」


すると蓮はニヤリと口角をあげる。


「今迄に数回しか来たことないけど…あぁフロントの人は顔認証で誰だかわかるんだよ。」

「顔認証?」


私が不思議そうな顔をしても、蓮は慣れた様子でフロントスタッフへ話し出した。


「今日からこの女性がしばらく部屋を使うから、登録しておいて!名前は、唯だからよろしくね。」


スタッフは蓮の話を聞いて、唯の方に向き直った。


「唯様ですね、橘様のお部屋に登録しておきます。何かお困りごとがございましたら、私どもにお申し付けください。」

「は…は…はい。」


緊張して裏声になってしまった。

蓮はクスッと笑うと、唯のスーツケース鞄を持ち上げた。






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