捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「別にかまわないわよ。私が全部回れるわけじゃないし」
 イオレッタ一人で採取できるようにも限界がある。だったら、採取できる人が取り過ぎない程度に採取に行けばいい。
「そうじゃなくて、採取できる場所の情報って、採取系の冒険者にとって命綱でしょう?」
「今回は緊急事態だから、そんなことは言っていられないもの」
 別にイオレッタが志の高い冒険者というわけではない。けれど、薬草がなくて困るのは弱い人達。彼らを守るためなら、このくらいのことなんてことはない。
 自分が、領主一家に生まれた者としての考え方をしていることを、この時のイオレッタは気づいていなかった。
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