捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
第四章 引っ越し先は幽霊付きワケアリ物件で
(……ちょっと早まったかも)
 とイオレッタが後悔したのは、地図を掲示板に張り出してから三日後のことだった。どこの群生地にも、冒険者がいる。
 新しい群生地まで行くのも面倒だし、採取の手は足りているからまあいいかと諦めたが、魔物退治に行くのは遠慮したい。というわけで、ものすごく暇になってしまった。
 あの時、馬鹿正直にイオレッタは持っている情報を全部出してしまったけれど、たしかに一部は秘密にしておいてもよかった。
 今度は取り過ぎないよう冒険者達は互いに監督しているみたいだから、それならそれでいいか、と思っている。それなら今日はだらだらすると決めた。
「だから言ったのに――」
 皆出払っているのをいいことに、冒険者組合でうだうだとしていたら、カウンターの中にいたマーガレットが苦笑いで声をかけてきた。
「いつまでも、この状況が続くわけでもないし、しばらく休むわ。あ、そうだ。どうせなら、家でも探そうかな」
「家?」
「うん。いつまでも組合の宿泊施設を借りているっていうのもね」
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