捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
第一章 自由って素晴らしいと思っていたら、なんだかトラブルに巻き込まれたようで
――ベルライン伯爵家。
 近頃その能力を失いつつあるけれど、過去には優れた精霊使いを輩出してきた名門伯爵家。
 周囲のベルライン家に対する見解はおおむねそんなものだろう。
 人によっては、二代続けて精霊使いとしての才能を持たなかった母とイオレッタに対する同情がそこに加わるくらいか。
 イオレッタの祖母は、精霊との間に強いきずなを持つ精霊師と呼ばれる存在であった。精霊師は魔力で縛ることなく、精霊と通じ合うことができる。
 母もまた、精霊師としての力を受け継ぐことを期待されていたけれど、精霊を魔力で縛って契約する精霊使いとしての能力にとどまっていた。
 自由に精霊と意思の疎通ができる祖母を間近で見て育ったからか、母は精霊使いとしての能力を秘めたまま一生を終えた。精霊を魔力で縛って言うことを聞かせたくなかったというのもあったのだろうが、祖母ほどの力を持てないのなら、精霊使いとしての能力など秘密にしておこうという判断だったのだろう。
(それにしても、お母様、男性の趣味悪過ぎだわ)
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