捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 ここに来る間も、「数日のうちには出発するつもりなんだけど」と言いつつ届は出してきた。
「いいことね。冒険者って、そこのあたりなあなあにする人も多いもの」
 届を出しておけば、ギルドの通信手段を使って安否確認もすることができるが、冒険者の中にはそういった手続きを面倒だと考える者も多い。
「今のランクはD級。採取系の依頼を多く受けてきたのね」
 イオレッタの冒険者証を魔道具で確認したアリスはつぶやいた。
依頼を受ける時と終わった報告の時は、カウンターの職員に冒険者証を渡す。そして、魔道具を使って実績が記録される仕組みだ。
「私、一人でやってるしね。魔物退治は得意じゃないのよ」
 魔物退治は遠出が必要になることもあるし、一応伯爵家の娘なので、夜家に帰らないというのははばかられた。そんな事情もあって、今までは採取の依頼を中心に受けてきた。
(……よく考えたら、もうその辺りは気にしなくてもいいんだけど)
 と一瞬思ったけれど、解体なんて血まみれになるのは遠慮したい。
< 21 / 320 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop