捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「イオレッタではないか。どうしたのだ?」
 イオレッタに気がついたセルヴィハがこちらに向かって歩いてくる。急いでいるわけでもないので、イオレッタも足を止めた。
「いい香りがするな」
「はい?」
 こちらに鼻をよせ、くんくんと臭いをかぐのはやめてほしい。
 というか、いい香りって――。
「ああ、午前中にクッキーを焼いたからですね!」
 最近では、お菓子作りをする余裕なんていうのも生まれてきたのだ。
 午後のお茶うけにしようと思って、朝から大量のクッキーを仕込んでいた。
「食わせろ!」
「セルヴィハさん、甘いものなんて食べるんです?」
「食うぞ。吾輩はなんでも食う。人間の食い物はうまいな。特に唐辛子の女王とかいう店のものはうまかった」
 セルヴィハがあげたのは、最近できた激辛料理の店だ。
 イオレッタは一度も入ったことがないけれど、店の中に入っただけで目が痛くなるぐらい刺激の強い料理を出すらしい。
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