捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
クライヴの声にのろのろと顔を上げる。その時には、ベルライン家の馬車は姿を消していた。
(私には気づいてなかったみたい……よかった)
ちらっと見えた限りでは、御者も見たことない人だった。イオレッタの顔は知らないだろう。
大丈夫だと安堵したら、いくぶん落ち着きを取り戻してきた。
(馬鹿みたい。家族にあんなに怯えていたなんて)
いや、元家族、だ。
捨ててきたはずなのに、あの馬車の中に元家族が乗っているかもしれないと思っただけでこんなにも動揺してしまった。家族の一員として認めてもらいたかったという想いが、まだ残っていたとでもいうのだろうか。
イオレッタの容姿は、特に目立つようなものでもない。庶民の服を着ていれば、庶民の間に紛れるのは難しくない。
きっと、あの人達も気づいていない――気づいていたところでなんだっていうのだろう。あの頃とは違い、ちゃんと対抗できる手段も持っている。
「歩けないようなら担ぐぞ?」
「お気持ちだけいただきますね。ゼルマにお茶をいれてもらいましょう」
(私には気づいてなかったみたい……よかった)
ちらっと見えた限りでは、御者も見たことない人だった。イオレッタの顔は知らないだろう。
大丈夫だと安堵したら、いくぶん落ち着きを取り戻してきた。
(馬鹿みたい。家族にあんなに怯えていたなんて)
いや、元家族、だ。
捨ててきたはずなのに、あの馬車の中に元家族が乗っているかもしれないと思っただけでこんなにも動揺してしまった。家族の一員として認めてもらいたかったという想いが、まだ残っていたとでもいうのだろうか。
イオレッタの容姿は、特に目立つようなものでもない。庶民の服を着ていれば、庶民の間に紛れるのは難しくない。
きっと、あの人達も気づいていない――気づいていたところでなんだっていうのだろう。あの頃とは違い、ちゃんと対抗できる手段も持っている。
「歩けないようなら担ぐぞ?」
「お気持ちだけいただきますね。ゼルマにお茶をいれてもらいましょう」