捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 宿屋を取ってもいいのだが、ゴルフィアに滞在している間は観光ではなく仕事をするつもり。となると、宿泊費は安くあげたいところ。
 同じように考える冒険者のため、冒険者組合にはたいてい宿泊施設が付属しているものだ。
 一室借りることにしてカウンターを離れようとしたら、イオレッタの前に一人の男性が立ちはだかった。
「あんた、回復魔術が使えるのか?」
 イオレッタは目の前に立っている男を見上げる。背はかなり高く、頭の位置が扉の上部より上に来そうだ。扉をくぐる度に屈まなければならなそう。
 立派な長身に呼応するみたいに横幅も広い。脂肪ではなく筋肉だ。つまり、相当鍛えている。
「ええ、まあそうですけど」
 イオレッタとアリスの会話に聞き耳を立てていたのだろう。
 誉められた話ではないかもしれないが、有用そうな人材が来たらすぐに確保するのはお約束。そういう意味では、目の前の男はまちがっていない。
「俺、ブライアン。このゴルフィアではちょっと知られているC級冒険者だ」
「ほぅほぅ」
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