捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 イオレッタのD級が一人前になったところならば、C級はベテラン。たぶん、目の前にいるブライアンは、盾と剣を持ち前衛に立つタイプの冒険者。
「俺のパーティー、〝天を目指す者〟に入れてやろう。本当はC級からしか入れないんだが、精霊使いのD級ならすぐにCに上がるだろ」
「お断りしますぅ。私、採取系が得意な冒険者なのでぇ」
「そんなこと言うなよ。回復魔術を使えるやつがいるのといないのとじゃ、負担が大きく違うことぐらいわかるだろ?」
「魔物退治面倒だから嫌ですぅ」
 魔物退治に出かけるとなるとえんえんと歩かないといけないし、野営をしたら外で寝ないといけないし、数日お風呂に入れないことだってある。
 精霊の力を借りてそのあたりをクリアするのは可能だが、よく知らない人のためにそこまで苦労するつもりはない。だいたい、のんびりしたくてここに来たのに、魔物退治に出かけていたら本末転倒ではないか。
「面倒って、お前な!」
 ブライアンが眉を吊り上げる。露骨に喧嘩を売る形になってしまったが後悔はしない。
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