捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「俺が王宮にいない方が、物事すべて丸く収まるんだ。それなら、そうすべきだろう?」
 セルヴィハがどうして、クライヴの血筋に気づいたのかは考える必要はない。ドラゴンには不思議な力がある。それで十分だ。
「――お主の言うことも、イオレッタの言うことも難しくてよくわからない。人間と言うのは、吾輩が思っていたより難解な存在らしい」
「ドラゴンなら、今まで多数の人と会って来たのではないか?」
「そうでもないな。吾輩のところまで来ようという者もほとんどいなかったから。前回人と会話したのは三百年ほど前だったか」
 それでは、人の世も大いに変化しているはず。その割には、人の世に馴染むのが早い。
「お前はイオレッタが気になるのか?」
「そうだな、気になると言えば気になる」
 セルヴィハの前で、取り繕ったところでどうしようもない。素直に口にすると、ドラゴンは鼻を鳴らした。
「まったく、お前達ときたら。まあいい、イオレッタは任せるぞ。あれは貴重な存在だ」
「任せるって……」
< 232 / 320 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop