捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 目の前の青年は、冒険者らしい鎧を身に着け、剣を帯びているけれど、そのたたずまいは冒険者のものとはまるで違う。上質な装備ではあるが、使い込まれた気配はまったくない。
「ドラゴン? さあ、俺に聞かれてもな。兄上こそ、なぜ、ドラゴンを気にしてるんだ?」
 兄上、と呼んだということは彼はクライヴの兄。
 クライヴは次男であるということは聞いていたとなると、目の前にいるのはクライヴの家の後継者。いや、代替わりしていたら当主ということになるか。
(……あれ?)
 引っかかる。何かが引っかかる。その違和感を懸命に引き寄せる。
 目をすがめたイオレッタは、クライヴの兄らしき青年の姿を観察した。銀色に輝く鎧、宝石のたくさんついた立派な剣。剣の柄頭に刻まれている紋章。
 獅子と鷲の横顔という柄頭の紋章は、王族にしか許されないもの。イオレッタは思わず後ずさった。
(王族……!)
 そうだ、王族がセルヴィハに会いに来るのだという話を組合長から聞いたではないか。
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