捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
王族が自らこちらに来てしまった。たぶん、スィア湖に向かったと誰かから聞いて、追いかけてきたのだろう。
会ったことはなくとも、隣国の王家の構成くらいは把握している。現在、プラディウム王国の王太子の名はエグバート。第二王子の名はクライヴだ。
(嘘でしょ、嘘でしょ……)
 クライヴが王族だなんて、考えてみたこともなかった。
 たしかに立ち居振る舞い、ちょっとした仕草。そのあたりに平民とは違う何かが滲んでいるな、というのは感じていたけれど、貴族だろうと思い込んでいた。クライヴという名も珍しいものではないし。
 クライヴを見ても、王族だと気づけなかったのには、そんな事情もあると言ったら言い訳になってしまうだろうか。
 クライヴは平然として、エグバートに対応している。
「ドラゴンに会ったらどうするつもりなんだ?」
「ドラゴンを見かけたら、退治するに決まっているだろう? 悪しき存在なのだから」
「――は?」
 思わず低い声が漏れた。
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