捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
くるりとカウンターの方に向き直り、そちらに向かって叫べば、アリスが拳から突き出された親指を下に向けている。これは「ヤッチマイナー!」という合図だ。
とならば、遠慮なくやらせてもらおう。
「――悪いな、そこ、どいてくれ」
やってやろうかという気になったイオレッタが唇の端を釣り上げた時、ブライアンの後ろから声がした。
「組合のど真ん中で道を塞ぐな。あと、そこのお前――嫌がる相手にパーティーへの参加を無理強いするのも禁止だろ?」
「丁寧にお願いしていただけだ」
「今のが丁寧って、ゴルフィアの冒険者組合はずいぶん柄が悪いんだな? こりゃ、滞在する町、変えた方がいいかもな」
ブライアンを押しのけるようにしてイオレッタの前に出てきたのは、背の高い青年だった。イオレッタより二、三歳年上だろうか。
イオレッタ同様旅をしてきてゴルフィアに到着したばかりと言うところだろうか。きちんと整えられた金髪に、琥珀色の瞳。イオレッタを真っ直ぐに見据えた彼の目に、一瞬吸い込まれかけた。
とならば、遠慮なくやらせてもらおう。
「――悪いな、そこ、どいてくれ」
やってやろうかという気になったイオレッタが唇の端を釣り上げた時、ブライアンの後ろから声がした。
「組合のど真ん中で道を塞ぐな。あと、そこのお前――嫌がる相手にパーティーへの参加を無理強いするのも禁止だろ?」
「丁寧にお願いしていただけだ」
「今のが丁寧って、ゴルフィアの冒険者組合はずいぶん柄が悪いんだな? こりゃ、滞在する町、変えた方がいいかもな」
ブライアンを押しのけるようにしてイオレッタの前に出てきたのは、背の高い青年だった。イオレッタより二、三歳年上だろうか。
イオレッタ同様旅をしてきてゴルフィアに到着したばかりと言うところだろうか。きちんと整えられた金髪に、琥珀色の瞳。イオレッタを真っ直ぐに見据えた彼の目に、一瞬吸い込まれかけた。