捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
『でも、早く帰った方がいいと思うわよ。イオレッタの会いたくない人達も、すぐそこまで来ているもの』
 ヴァネッサの忠告は、少しばかり遅かった。
「お前、なんでこんなところにいるんだ?」
 すぐそこの宿から、ベルライン家の人達が出てきた。どうやら、この店に宿泊していたらしい。父、トラヴィス、そしてシャロン。
 彼らはイオレッタを見て、驚いたように動きを止めた。
「……あなた達こそ」
 以前、ロシードで見かけたベルライン家の馬車。翌日にはロシードを出て行ったようだったから、イオレッタも安堵していた。
 ――なのに、なぜ。
 捨ててきた家族が、なぜここにいるのだろう。
『だから、早く戻りなさいって言ったのに!』
 そんなことを言われても。ぼうっとしていたイオレッタが悪い。
『イオレッタ、命令して。あいつらやっつけろって!』
『マモルヨ、ケッカイ、イル?』
 イオレッタの周囲を精霊達が取り囲んでいるのに気がついた元家族は、顔を引きつらせていた。
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