捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「君は俺を愛しているのだろう? だったら、戻ってきてくれ。共にベルライン家を盛り立てよう」
「おいおいおいおい!」
 思わず元淑女らしからぬ突っ込みをしてしまった。
 共にベルライン家を盛り立てようってどういうことだ。そもそも彼がベルライン家にいられるのはシャロンと結婚したからなのに。
「戻りませんよ? 私はもう自分の足で歩いて行けるんです。家にいた頃の無力な私じゃありません」
 正確に言えば、家にいた頃もちょこちょこ脱走しては薬草採取の依頼を受けていた。そうしなければ、家を出された時生きていくことさえも難しいと思っていたから。
 ――でも、今は違う。
「組合の治療所で働いています。薬草採取でも報酬をいただいています――生きていくのに、あなた達の力は必要ないんです。私は、一人で大丈夫ですから、どうかお気になさらず」
「ま、待て!」
 そこでベルライン伯爵が割って入った。クライヴの顔をもう一度見つめ、そして首を横に振る。クライヴの正体に気づいていたようだから、思うところがあるのだろう。
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