捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「これ以上話しても意味がない。行くぞ」
「え? お父様、どういうこと?」
「義父上!」
 くるりと父が向きを変えて歩き始め、慌ててシャロンが後を追う。トラヴィスはちらりとイオレッタを見たかと思ったけれど、慌てた様子で二人の後を追った。
「なんだか、イオレッタも大変だな」
「……事情は、聞かないんですか?」
「聞く必要あるか? もし、聞いてほしいなら付き合うが」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
 一つだけいいことがあったなら。
 クライヴとの間にあった微妙な空気が、あっという間に吹き飛んでいたことだろうか。そういう意味では、生まれて初めて元の家族に感謝したイオレッタであった。
 
 * * * 

 宿に戻ったベルライン伯爵は、苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。
「お父様、どうしたの? あんな冒険者達蹴散らして、あの人を連れて帰ればいいじゃない。地下室にでも監禁しておけば、精霊も戻ってくるのでしょう? 今度は、逃がさないようにしなくちゃ」
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