捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
(でも、変ね。精霊が一度に集まるなんて、それこそ精霊神の誕生の時ぐらいだと思うんだけど……あの時だって、ここまで完璧に精霊が消えることなんてなかった)
 精霊と人の基準は違うものだ。精霊は自由で、ひとつところにとどまるということはしないらしい。
 イオレッタの周囲に精霊が多いのは、イオレッタの魔力が欲しいからで、満足したらすぐにふらふらと別の場所に行っているから。なのに、こんなにしんとしているなんておかしい。
「変なの」
 精霊の存在が感じられないだけで、こんなにも不安になる。いや、この精霊の不在は人為的に起こされたもののような気がする。
(たぶん、町の人達は気づいていないんだろうけど……)
 精霊を見られる者はそう多くない。冒険者組合に行けば、他の精霊使いと話ができるだろうか。精霊使い自体そう多くはないけれど、ロシードには三人ほどいるという話は聞いている。他の精霊使いなら、何か事情を知っているかもしれない。
「ゼルマ、ちょっといいかな?」
「なーにぃ?」
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