捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 十分な燃料を用意したところで、小鍋を火にかけた時だった。不意に背後から声をかけられた。
「おい、ここは魔物が出る場所だぞ! ひとりで何やってるんだ」
「びっくりした!」
 飛び上がりそうになりながら、慌てて振り返る。声をかけてきたのはクライヴだった。
「なんだ。精霊使いの――イオレッタ、だったか?」
「ええ。ここはよく採取に来る場所なので大丈夫ですよ。魔物が近づかない様にしてもらってるし」
 イオレッタの言葉が信じられないというかのように、クライヴは眉間に皺を寄せる。顔がいいと、そういう表情も様になるのだなとおかしくなった。
「何がおかし――」
「クライヴ、君だって気づいてるんでしょう? ここ、このあたりに出る魔物は近づけないよ。精霊使いの結界が、こんなに強いなんて知らなかったな」
 ごそごそと藪をかきわけ出てきたのはレオニード。アルディの力は、大地に及ぶ。群生地とその周囲には魔物が近づけないよう結界を張ってもらっていたのだ。
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