捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 クライヴの身体の中、ヴァネッサが自由自在に動き回っているのがイオレッタにはわかる。傷口から溢れてくる血は真っ黒で、いかにも怪しいものが混ざっていそうだ。
『見つけたわ!』
 数分すると再びヴァネッサが姿を見せる。
「……毒の精霊はいた?」
『ええ。この子がそうよ。今、生まれたばかりの新たな精霊ね』
 ヴァネッサの側にいるのは、紫色の小さな蛇。イオレッタの小指くらいの大きさしかないので、本当に小さな精霊だ。
(ここで、契約をしくじるわけには……)
 ここで契約をすることができたら、クライヴの身体から毒を消滅させることができるかもしれない。ちらりとクライヴに目をやれば、かなり毒が回り始めているようだ。先程は注意喚起してくれたのだが、そんな余裕もなさそうだ。
「……こっち向いて。私と契約しましょう?」
 イオレッタが呼びかけると、蛇はこちらを振り返った。ちろりと赤い舌がのぞく。
『契約?』
「契約してくれたら、私の魔力を分けてあげる。ほら、おいしい魔力でしょう?」
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