捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 もともと、ゴルフィアを永住の地として定めたわけではない。いずれ出ていくこともあるだろうと考えていた。
「だが」
「誓約魔術だなんて、大げさです。お互い様です」
「君は俺達を信頼し過ぎだ。こういうことはきちんとしておいた方がいい――というか、書類はもう用意してあるんだ。条件さえ決めれば、すぐに誓約を結ぶことができる」
 昨日の今日で、誓約魔術の契約書を用意しているとは、仕事が速い。必要ないとも思うけれど、「守っていれば問題は発生しないわけだから」というクライヴの説得に折れた。
 イオレッタの許可なく秘密を話そうとしたら、ひどい頭痛に襲われるという比較的穏便なものにしてもらった。
「いったぁ……」
 指の先を針でついて血を垂らす。回復魔術で塞いでしまうにしても、痛いものは痛い。
「で、次の話。詫びの方だ。先日の襲撃。あれは、俺を殺そうとしたものだった。タデウスとレオニードもだな」
「そんなに恨みを買ってるんです? B級冒険者になるのも大変なんですねぇ……」
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