捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 顎に手をやったタデウスは、剣呑な表情だ。穏やかな物腰に騙されがちなのだが、この三人の中で一番喧嘩っ早いのも物騒なのもタデウスだし、騎士団仕込みの尋問術とは拷問のことである。
 と、ここまで考えて、クライヴはふと目を扉の方にやった。
 たしかに、イオレッタのことは気になっている。それは、彼女が命の恩人だからという理由だけではなさそうだ。
 ――でも。
 今はその気持ちに名前を付けることはできなそうだった。
 
 * * *
 
 B級冒険者も大変だ。と、クライヴ達『ニバーン』を見ていると思う。
 彼らが街を歩いていると、すぐに声をかけられるのだ。主に子供、それから若い女性。
 B級冒険者ともなればかなりの高収入であることが大半だから、女性達にとっては有力な結婚相手候補なのだろう。
 今のところ、イオレッタは結婚はまったく考えていないけれど。
 朝、組合に立ち寄ったら、ちょうど家令からイオレッタに手紙が届いていた。
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