捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 残念だったわね、とイオレッタの姿を想像しながら思う。
 本妻の娘だからと、いつも冷たい目で見下ろしてきたイオレッタ。
けれど、この家を継ぐのはシャロン。トラヴィスに愛されるのもシャロン。領主として、領民の愛を一心に受けるのもシャロンだ。
 何一つ、イオレッタには渡してやらない。
「では、行こうか」
 愛する父が、シャロンに腕を差し出してくる。
 ――今日、シャロンは愛する人の妻になる。その光景を異母姉に見せつけてやれないのだけは残念だと思った。
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