推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ
 嘘のない人と理解してます。でも御曹司を婿養子に迎える覚悟は我が家にはありません。
「何を言っても勝てませんね」
 しみじみと言うと「よく言われます」と返事をして軽くキスをする。完敗です。
「あと、言いずらいけどひとつお願いがあるんです」
 専務は私から身体を離して、とても申し訳ない顔をする。なんだろう。何を言われるのかこっちが緊張してしまう。プロポーズをやめてやっぱり愛人枠にするとか?急にドキドキが止まらなくなる。
「僕と咲月さんの最初のきっかけになった、新年会のダイヤを、とっても言いずらいけど……返してもらえますか?」
 苦しそうな顔をしてそう言われてしまった。なんだそんなことか、緊張して損をしてしまった。
「はい。いいですよ」サラッと返事をすると驚かれた。
「いいんですか?」
「はい。私には分相応ですし」
 素晴らしい品ですが、やっぱりブルガリは今の私には似合わない。もう少し大人になって、自分に自信が持てるようになってから、これを機会に頑張って、一番小さな品物を買うのを目標にしたい。
「一度渡した品物を返して欲しいなんて、本当にすいません。殴られる覚悟はできてます」
 殴るって……今までどんな女性とお付き合いされていたのか、ちょっと知りたくなってしまいました。真剣に謝る姿にこっちが恐縮してしまう。
「あれは、昔の彼女に渡そうとして拒否された品物なんです」
「そうなんですか?」
「拒否されたので、会社の新年会の景品に出しました。手元に置いておきたくなかったから。すると、咲月さんの手に渡ってしまって。まぁそれがきっかけでしたが、そんな品物を咲月さんの手元にも置いておきたくなくて」
 気にしてくれていたんだ。なんて優しいんだろう。じんわりと感動していると、私が残念がっていると思ったのか「だから、これを代わりに受け取って下さい」と、急に出していたトランクケースの中を荒らして、私に水色の箱を渡してくれた。
「これと交換して下さい。これは咲月さんの為に買った品物です」
 さらっと渡してくれるけど、この気品ある水色の箱は私の憧れのブランドではなかろうか。
「咲月さんのイメージで買ったのでピッタリですよ」
 箱を開くと、ブルガリに負けないくらいのキラキラダイヤのネックレスが私を迎えてくれた。
 まぶしい。分相応リターン。
 専務もブルガリもティファニーもダイヤもキラッキラで、私はこれから大丈夫だろうか。
「愛してる」
 愛の言葉をこれほど自然に言って似合う人も珍しい。クスっと笑うと頬にキスをされた。
 魔防使いの御曹司さん。私も愛してます。
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