推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ

 それから
 なかなか忙しく、あっという間に冬が終わり
 桜の季節になってしまった。

 専務の仕事は忙しく(名前で呼べと言われているけど、まだ慣れず)国内外での出張も多いけど、狭い我が家で過ごす時間も増えていた。専務のタワマンに私が引っ越し、一緒に暮らそうと言われているけど、せめて半年ぐらい付き合ってからと私が言うと「けっこうめんどくさい女性なのですね咲月さんは」と、言われて笑われてしまった。たしかに、ホワイトデーに婚姻届けを持って来た専務から見れば、めんどうな女かもしれませんが、それもどうでしょうと私は笑ってしまいます。

 「ここにいると、いつも咲月さんが目に入って幸せです」
 専務は私の部屋が大好きだった。狭いから当然です。タワマンではこうはいかないでしょう。
 相変わらずの優しい笑顔と物腰で、私を丸め込んでいる。でもそれはとっても心地よく、幸せを感じてしまう。

 専務のご両親にもお会いした。
 社長はもう前の前から、入社当時から知っていたけど雲の上の存在で、これまたとんでもないご実家のお屋敷でお会いしたけど、ご両親ともとっても優しく、お母様も穏やかで品が良く、絶対反対されると思っていたけど、結構ドライなお母様で「当人同士がいいなら幸せになってね」と、いうタイプだった。
 なんでも、ご両親はいまだに互いが大好きで、お母様は自社の高級海外リゾートホテルで年の半分を過ごし、夫がいれば息子はいいの……タイプだった。かわいそうな専務。でも、家族仲は良く上流階級な世界だった。
 これは、私の家に連れて行くのがハードルが高くなって、頭が痛い。でもきっと、専務ならどんな状況でも上手にこなすんだろうなぁと、思ってしまう私だった。


 そんなある日のこと

 私は専務が唯一振られてしまったという、貴重な女性に会ってしまった。
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