推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ

ずっとハッピーエンド


 日曜日の午後。お客様が途絶えた一瞬の時間
 フロントで男性の先輩と打ち合わせの話をしていると、ブライダル担当の職員である、その奥様がまっすぐ笑顔でこちらにやってきた。
「咲月ちゃんおつかれさま。うちの旦那にいじめられてない?」
 芽愛ちゃんとはまた別のジャンル美人さんで、昨年職場結婚したばかりの新婚さんである。職場結婚……私と専務が結婚すると(想像するだけでまだ恐れ多い)職場結婚になるのだろうか。いや、その前にお付き合いしていることをカミングアウトしなければいけないかも。徐々に浸透させたい。いきなり公表すると周りもビックリだろうから。
「大丈夫です。いじめられたらまっすぐ言いつけに走りますから」
 そんな返事をすると隣から私の体に軽くグーパンチが飛んだ。
「パワハラきました」奥さんに訴えて笑い合ってると「仕事の邪魔」と能面顔で言われたけど、めちゃくちゃ愛妻家って噂ですよ。
「お客様待ちですか?」そう聞くと「うん。ちょっとした確認があって、ロビーまで来てくれるって言うので降りてきた。上でやるまでもないお話だったから、お客様からロビーで良いって言われたけど……」
 そう言いながらちょっとため息をする。
「何か問題でも?」サービス業は問題アンテナに敏感だ。
「専務のお友達のVIP客で絶対失敗できないなという、プレッシャーもある」
 専務アンテナにも敏感な私。えっ?っと前のめりになってしまう。
「最初の案内も打ち合わせも専務が同席するんだもん。こっちが緊張しちゃって」
「それこそパワハラだろう」先輩がぽそっと言うと「いや目の保養に最高だけどね」と言い返されていた。
< 61 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop