推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ
「愛人枠じゃなくてよかった」
 ぽそっと言う芽愛ちゃんの言葉が重かった。
「御曹司にプロポーズされるなんて……うわぁ」
 芽愛ちゃんはそのままソファの背もたれに溶けていた。
「不安もいっぱいあるよ」
「咲月はいつも順調になればなるほど、不安を探してしまうよね」
 痛いところを突かれてしまった。たしかに、それが私です。
「それは後から考えよう。たまに何も考えないで、気持ちのままに流されてしまえ」
 芽愛ちゃんは綺麗な顔で私の顔をジッと見つめる。
「理想と現実は違うっていうけれど、もしかしたら流されたらそのまま、同じ場所にたどり着くかもよ」
「……うん」
「問題が起きてから考えよう。まずは今の幸せに浮かれて笑顔になりなさい」
「うん」
 そうだね。大好きな友達の言葉は沁みます。
「よしっ!ここは私がお祝いでおごろう!1000円以下の品を選びなさい」
「ありがとうございます」私は素直に頭を下げた。
「デザート追加しようかなー。琉希は振られたな、気の毒に」
 メニューを見ながら芽愛ちゃんが言う。
「咲月は何も考えずに幸せしなさい。私の命令だ。琉希は強い男だから大丈夫。情けをかけると余計にプライドが傷つくからね」
「うん」
 琉希はいい男だから、きっと私より素敵な彼女ができるだろう。
「芽愛ちゃんとお似合いだと……」
「殴られたいの?」
「すいません」けっこう似合っていると思うけど。お互いに意識し過ぎているのではなかろうか。
「咲月」
「何?」
「よかったね」
 今日イチの笑顔を芽愛ちゃんは見せてくれたので、私は笑顔で素直に「うん」と返事をした。
 素直になろう。
 推しから公認をいただいた私は最強のはず。
 最強に堂々と推しを愛します。
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