絶対にずっと好きだと証明しましょう

ハッピーバースデー

最初の4人での食事はとても雰囲気がよいとは思えなかったのに、なぜかその後も繰り返された。
健夫は一目ぼれした美幸と会う機会を増やしたくて、美幸は樹と一緒にいたくて。
そんな理由で計画されるのだ。
つまり楓だけはただのダシというわけだ。
断ればいいのだが樹は「楓が一緒ならいいよ」と言うし、健夫からはおごるからお願いだから参加してよとしつこく拝まれて、つい渋りながらも楓は「樹がいいなら」と承諾してしまう。

健夫は美幸さんに会った最初のときに抜け目なくラインの交換をしたようで、それから積極的にくどいている。
美幸は樹に熱を上げながらも家が裕福で車もお金もあってなんでも美幸さんの言いなりになる健夫をアッシー、メッシー、貢君にして、自分の都合に合わせて呼び出しているようだ。

「ねえ、健夫君と美幸さんはどういう関係なの? 一応付き合っているの?」

楓と健夫は大学のカフェにいた。
大きな窓からは50mくらいありそうな大きなヒマラヤスギが見える。
空に向かってそびえる緑の円錐形は7月の強い日差しを受けながらも悠々とキャンパスを見渡している。
神々しいその姿から、この大学では御神木のような存在である。
その御神木に目をやっていた健夫が楓に視線を戻し「どうなんだろう」と考える。

「デートはするけど、彼女まだ樹君に執着してるし。楓ちゃんがいるのにファイターだよな」
「美幸さんは樹を振り向かせる自信があるんだね。そんな美幸さんを追いかける健夫君もかなりのファイターだと思うけど。ねえ、美幸さんと樹って最後までいってると思う?」
「それ、僕に聞く?」
「ごめん、だってほかに聞く人いないし」
「いいよ、僕の最大の関心事でもあるし。まあ美幸さんはいろいろ理由付けて樹君を誘ってはいるとは思うけど、それに樹君がのっかてるかどうかだなあ。普通は誘われたらいっちゃうけど。楓ちゃんはどう思う?」
「わからないから聞いてるのよ」
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