絶対にずっと好きだと証明しましょう
「ねえ樹、ずっともやもやするの嫌だから聞いておく」
「うん」
「りか子さんともあのホテルに行ったの?」
「うん」
「そうか」
「気になる?」
「当り前でしょ。もっと怒ってもいいのにって自分で思う。あのさ、樹をずっと好きでいるのは私の勝手だよ。でも私は一応樹の彼女なんだから。嫉妬する権利はあると思う」
「確かに。それと一応じゃなくて楓は僕の彼女だ」
「じゃあなんか弁解するとか、なだめるとかしてよ。他の人と同じデートコースをたどるってデリカシーなさすぎ。ショックで心陥没したから」

樹は以前りか子と植物館に行き、その後りか子とホテルに行くことになったいきさつを楓に話した。
そして同じコースとか意識していなかった。
植物園もホテルも、ただ楓と一緒に行きたかっただけだと、楓の手を握った。

「それからは?」
「別になにも。留学先で朝飯は食べたけど」
「りか子さん、なんでわざわざユーゴさんの前で言うんだろう。きっとユーゴさんの心も陥没してると思う」
「そういうの考えない人なんだよ」

楓と樹は来た時と同じく地下鉄に乗って新木場駅に戻り、TSUTAYAでDVDをレンタルし、コンビニで買い物をしてホテルに戻った。

2度目のシャワーを浴びた後、缶ビールを飲みながら『わんにゃんレスキュー隊』のDVDを観る。
前見たときと同じところで樹と一緒に笑う。

そんなんでいっか、と楓は思う。
『わんにゃんレスキュー隊』を見て樹と同じ場所で笑えるのはきっと自分だけだ。
こんなんでいっか、と。
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