時をこえて、またキミに恋をする。
「もういいよ。それに、俺もびぃの立場だったら、少しの間くらい外したくなっただろうし」


宗治にしては気を遣った言葉が返ってきて、少し驚いた。

だからこそ、悪気がなかったとはいえ、面倒なことに巻き込んでしまったなと反省…。


「でも、まただれに見られるかわからないから、ここで包帯つけるよ」

「今はいいんじゃね?屋敷の近くになるまではそのままで」

「そうは言ったって、もし見られたら――」

「見られなかったらいいだけだろ」


前を見つめる宗治が、横目でわたしに視線を移す。


「もっと俺に抱きつけ。それで、顔を埋めろ。そうしたら、だれにも顔は見られねぇから」


宗治のその提案に、わたしはポッと顔が赤くなる。


『もっと俺に抱きつけ』って…そんな言葉。

よく恥ずかしげもなく堂々と…。
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