時をこえて、またキミに恋をする。
わたしがためらっていると、宗治は早くしろと言わんばかりにもう一度わたしに視線を向ける。


「なにもしないほうが目立つから、さっさとしろ」

「はっ…、はい…!」


わたしは言われたとおりに、宗治の首にまわしていた腕をギュッと抱きつき直すと、その首元に顔を埋めた。


「俺が『いい』って言うまでそのままな」


宗治の問いに、わたしは顔を埋めたままうなずいた。


香る宗治の匂い。

わたしを支える丈夫な腕。

広い背中。


そして――。


『そいつから離れろ』


駆けつけてくれた、あのときの姿。


その1つ1つに…、ドキドキしてしまうっ。


――ダメ。

ダメなのに…。


宗治は、都子姫と結ばれる運命なのに――。


それでもわたしは、…宗治のことが好きだ。


今までごまかしていた自分の気持ちに…気づいてしまった瞬間だった。
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