時をこえて、またキミに恋をする。
そんなことを考えながら、わたしは夜のお屋敷の中の庭園を散歩していた。


すると桜の木の下に、月明かりに照らされた刀を振るう影が見えた。

宗治だ。


一心不乱に素振りをする姿に、思わず目を惹かれる。

現代のうちの庭でも毎晩のように素振りをしていたから見慣れた光景のはずなのに、なぜだか今はそんな宗治がかっこよく見えてしまって仕方がない。


わたし…おかしくなっちゃったのかな。

と思うほど、宗治をずっと見ていたかった。


これが…『恋』というやつなのだろうか。


それに、いつもなら何気ない話をしに声をかけるのに、…今はそんなことできない。

宗治を見ているだけで胸がドキドキしてしまうから。


集中していることだし、部屋に戻ろう。


そう思って、戻ろうとした――そのとき。


「びぃ!」
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