時をこえて、またキミに恋をする。
つまり、宗治は狂い咲きした桜の木のうろに吸い込まれ、再び現代の桜の木のうろから現れたのだ。

わたしが見たのはそれだった。


そして宗治の話からすると、神社にある御神木の桜の木は、宗治がいた時代から存在していた。

同じ桜の木からタイムリープしたとすると、わたしたちがいるこの夜月神社は、その昔、都子姫が暮らしていた公家のお屋敷があった場所なのだ。


「同じ場所で、同じ桜の木があるなら、なんだか帰るのも簡単そうだね」


救い人がまだいまいちよくわかってないけど、幕末の剣士がこっちの世界で暮らしていけるわけないだろうから、早く返してあげたいし。

本音としては、わたしに対して失礼すぎる宗治をすぐにでも返却したいだけ。


「そうとなれば、次はいつ桜が咲くんだ!?」


宗治も、元の時代へ帰れるかもと思って前のめりだ。
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