時をこえて、またキミに恋をする。
「つまり都美なくして、宗治くんは元の時代には戻れないということじゃな」


救い人は、過去からやってきた人を救う力があるというけど、それは元の時代に返すことができるということだった。


「じゃあ、その救い人の力ってやつで、どうやったら戻れるんだ?」

「それは、古文書によると…」


おばあちゃんは、また違う古文書に目を通す。

そんなおばあちゃんの姿を食い入るように見つめる宗治。


「ここには、『桜が狂い咲く夜、時をこえる』…と書いてあるの〜」

「…桜が狂い咲く?…そういえば!火事の日も、冬なのに桜が咲いていて…」


宗治は、火事のお屋敷から都子姫を外へ連れ出したあと、庭にあった桜の木の根元で倒れてしまったんだそう。

そのとき、木の幹にあったうろが赤紫色にぼんやり光っていたとか。
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