愛を奏でるワルツ~ピアニストは運命の相手を手放さない~



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部屋に戻り、私はそわそわしていた。
すぐさまお風呂に向かうが、レンの帰ってくる時間を考えるとあんなに入りたかったお風呂に浸かる時間すら惜しい。
この部屋はバスタブとシャワーブースの分かれている贅沢仕様。
私はシャワーだけ済ませ広々としたバスルームで、身体にタオルを巻いたまま目の前の選択に悩む。
海外では日本のように寝る際に着るパジャマのようなものは置いていない。
だがレンが頼んでくれたのか、戻ってくると部屋のベッドの横にあるチェストにパジャマが二つ畳んでおいてあった。
大きさも2種類あるので小さいのは私用だろう。
デザインは彼シャツロングバージョンのようなもの。
肌触りが良く、質の良い物だ。
自分の持ってきた安物でそれもキャラクターの描かれたパジャマでレンの前に出るのははばかられる。
私は悩んで、とある方を着ることにした。
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