愛を奏でるワルツ~ピアニストは運命の相手を手放さない~

「侮辱?!女一人に?!あなたらしくないわ!
今までも色々な女と付き合っても、あなたにとって一番はピアノだったでしょう?!
それが仕事を押して日本公演を決めた理由が、先に聞かされてた理由では無くこの女に会いたかったですって?
本当の理由をあなたが話したのは、既に向こうと契約を交わした後だった。
マネージメントしてきた私は怒りに震えたわ。
今回のコンサートより、遙かに以前貴方に勧めた方が貴方を有名にさせたのに!」

すぐ側で叫ぶ彼女の声は今にも泣きそうに聞こえた。
それだけ彼女が必死にレンのためにマネージメントしたからこそ、というのも伝わってくる。
私はただレンに会いたくて、レンのピアノが聞きたくて、そして側にいたかっただけ。
だけどそれが、彼を支える人達にとって迷惑であるかも思い知る。

「ミア、今日の仕事は終わったはずだ。
プライベートの時間を邪魔しないで欲しい」

レンはそう言って私を彼女から隠すように歩き出す。

「レン」

たまらず声をかける。

「部屋に行こう」

このまま行って良いのだろうか。
でも彼女と何を話せば。
彼は特に表情も変えずに私を包み込んだままだった。

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