君にかける魔法
「あぁ、まぁ行けるかはわからないけど…」

ナツキの紙には『第1希望 … 』

ん?

「海外…」
「そう。本格的にダンスとか極めてみようかなーって。」
「英検受かろうねぇ」
「ははっ…」

聞いた事のない学校の名前だった。
実はその後こっそり調べてみたら、プロダンサーやミュージカル俳優を育成する、ダンスのトップ校らしい。
そんなに詳しくない私でも知っている俳優さんやアーティストの出身校なんだとか。
倍率は宝○の養成学校以上らしい。

2人は夢が決まってて、自信を持っていて。

何かに一生懸命取り組んできた人は、きっと何に対しても本気で取り組むことが出来る。

私は空白で紙を提出した。






「望月さん。」
「どうしたの、モモちゃん。」

バイトの先輩で、夕方から深夜~早朝のシフトによく入る大学4年生・望月さんにさりげなく進路について聞いてみた。

「私が大学入った理由?」
「教えてください。」

望月さんが通っているのは、この辺りのかなり地域密着型って感じの大学。失礼かもしれないが、偏差値が高くもなく低くもなく、入試の倍率もそこそこ。

「私は何も無かったからだよ。」
「何も…無い?」

望月さんって、店員にもお客様にも優しいし、休憩室の片付けもしてくれるし、何も無いなんて思えないのに。

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