君にかける魔法
一人暮らし・1K。
小さなローテーブルの上には、2人分の目玉焼き・コールスローサラダ・トーストされた食パンが2枚ずつ。

「多かったら残して良いから」

昨日あんなだったのに、

まともに顔も見れない。

「どうしたの?」
「…なんで、普通でいられるんですか」

何言ってるんだと自分で自分につっこみたくなる。
青葉さんが笑う。

「な、なんで、、笑っ」
「そんなにストレートで聞かれたの初めて」

青葉さんは持っていた食パンをお皿に置く。
私は恥ずかしくて顔が見れなかったけど、青葉さんがこちらを向いていることはわかった。

「僕は、嬉しかった」

優しい笑顔でそう言った。

「ソノのこと、もっと知りたい。僕のことももっと知ってほしい。今よりもっと好きになりたい、好きになってほしい。」

「…はい」

私は相変わらず恥ずかしくて仕方がなかった。
でも、青葉さんが言ってくれたように、お互いを知ってお互いが好きでいて、
素敵な関係が長く続いて欲しいと思った。

どうやらお腹は空いていたみたい、というか青葉さんが料理上手だったのだと思う。
私はありがたく朝ごはんをいただいた。



「ソノ夕方からバイト?」
「そうです。また後でですね」

青葉さんは午前からシフトが入っていたので、途中まで私と一緒に歩いていた。
何気ない会話も楽しいものだ。
昨日の今日で恥ずかしくて恥ずかしくて、今もまだそんな気持ちなのだけれど、カップルであると実感できた。
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