君にかける魔法
日曜なので道も家族連れが多い。
その間に見覚えのある金髪…

「友達見つけたので声掛けて来てもいいですか?」
「うん、」

私は『少し待ってて下さい』といって後ろ姿を追いかける。



「ナツキ!」

足を止めてはくれない。

何かこのままじゃダメな気がした。

私は走って追いつき、ナツキの前方へ回り込む。

「ナツキ!」
「何。」

ひどく鋭い低い声。
人違いかと思ってしまうくらい。
でも、ナツキだ。

「たまたま見つけたから、最近2人であんまり話せてなかったし」
「急いでるの」

一向に目を合わせようとしない。
ずっと下を向いている。

「何で!何で、私、悪いことした…ねぇ!」

どんどん歩いていこうとるナツキの腕を掴んだ。
振りほどこうとしても絶対に離さない。

「私分からないよ。なんで急に私を突き放すの?友達だと思ってたの私だけ?嫌いになった?」
「放っといてよ。」


周りの声が聞こえない。

私の耳に入ってくるのは、ナツキの声だけ。


「私、もう、いらないでしょ。」

後ろを振り返る。

「いいじゃん。彼氏と仲良くしなよ。じゃ」

腕を掴んでいた手が思いっきり振り払われた。
私はこれ以上、ナツキを追いかけることが出来なかった。
あんなナツキの姿、見たことがなかった。

私はとりあえず何事も無かったかのように青葉さんのところに戻る。

「僕の方一瞬見てた?あの子」
「気のせいだと思いますよ」

平然を装ったところできっとバレてる。
青葉さんはこれ以上探らなかった。
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