君にかける魔法
この日は何も上手くいかなかった。
バイトもいつもはしないようなミスをして
こんなことは普段ないから、青葉さんも他の先輩たちも気にしないで、とか慰めてくれた。

良いことがあったはずなのに、私はそんなことよりナツキの方が気が気でなかった。









なんとなく話さなくなって、学校でもナツキは他のクラスメイトとよく入るようになった。
クルミはなにか察しているみたいだったけど、それは教えてはくれなかった。
『これはナツキの問題』って言っていた。
このままでは嫌だったけど、クルミもいれば、3人ではまぁまぁ普通の状態ではいられるので、なるべく気にしないようにしていた。
それでも急に態度が変わってしまったナツキが不思議で不思議で、せっかく楽しみだった修学旅行がとても不安に感じてしまった。


帰り際、体育館に向かうある人を私は追いかけた。


「く、熊沢君!」
「…おまえ、…」

熊沢君が驚いたように振り返り、足を止める。
それもそのはず。
実はちゃんと話すのはこれが初めて。
クラスも被ったことは無いし。

「△組の、美園 萌桃です。少しお時間良いですか?」
「手短に頼む」

熊沢君は案外あっさりと承諾してくれた。
私達は廊下の隅の方に寄った。

「で、何?」

「た、担当直入にいいますね」

私は息を飲む。
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