君にかける魔法
「先生、いいの?一緒に帰らなくて、車で帰れるじゃない?」
「教員で打ち上げらしいよ。生徒より元気すぎ」
「だね。」

静まり返った学校。
誰もいない学校って不思議と気持ちを高ぶらせる。

「で、話って?」

「…あ、うん。」

誰もいないグラウンドの方を眺める。

沈黙が続く。


どのくらい経ったか。


ゆっくりとナツキは話し始める。


「1日目の、アレ、…本気なの」

私は思わず目を丸くする。

現実を受け入れたくない。


「私、好きっ」



彼女から目が離せない。

必死に

真っ直ぐ

思いを伝える


これが本当の恋




「モモに彼氏がいるのは、分かってる。これ以上何も求めない。だから、気持ちだけ……えっ。」

「ありがとう。…気持ち、…伝えてくれて。」

私は抱きしめていた。

ナツキを。


私には彼氏がいる。
告白してくれたのは、仲の良い女の子。

気づいてしまった。


…でもそれは無理だ。


もう遅かったのだと。


何でこんなに自分の気持ちに鈍感なんだ。


あなたも、


そして私も。



「なんで、モモが泣いてるの?」

「……わかんないや」


涙の理由。

今はわかる。


ごめんね…



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