君にかける魔法
4
修学旅行が終わり、通常の学校生活に戻っていく。
ほどほどに勉強して、 ほどほどにバイトして、たまに彼氏と遊んで。
至って普通の高校生活。
むしろ傍から見たら良い生活をおくっていそうに見える。

友人関係だって良好。
何が不満?
不満なんてなさそう?


本当の気持ち押し殺して生きて、


今の私は息がしにくい。





「もうすぐ地区予選か」
「はい、学校関係者チケット!」
「おぉっ」
チア部の大会は他の運動部みたいに大会が何度もある訳では無い。
年に数回のチャンスに全てをかける。

「モモも私と行かない?」
「私関係ないけど、良いの?」
「もちろん!」



チケットを1枚受け取った。
帰り際に『モモに見に来て欲しい』って言われちゃった…
その事が頭から離れない。
バイトも今日は暇だ。
ぼーっとしながら、運ばれてきた新しい商品を棚に並べていく。

「ソノ!」

「青葉さん!」

就活の帰りに青葉さんが寄ってくれた。
「今日シフト入ってるの見て、あとこの前クッキーありがとう!美味しかった」
「良かったです」

いつも通り優しい青葉さん。
最近この優しさ、笑顔を向けられると胸が少し痛むのは何故だろう。
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