君にかける魔法
午後の授業終了。
そして下校時間だ。
部活動は今日から再開するところが多いのか、運動部の男子はいつの間にか教室からいなくなっていた。
ヤマト君にはやく会いたいとハルカもすぐ帰って行った。


少し静かな教室。
ゆったりと帰る支度をする、数人のクラスメイト。
外からきこえる運動部の掛け声。
そっと吹く春風。
青春を物語っている。
そんな中、私は何をしているのだろう。
周りの子達が輝いて見える。
何故か感傷にふけていた。
あ、…生○前か
なんて突然現実的にもなったり…



「…美園、さん?」


顔を少し上げる。
誰かが目の前に座っている。
夕方か、寝てしまっていたのか、
オレンジ色の光が教室の中に降り注ぐ。

「…起き、た?」

金…髪……

「美園さん、下校時間とっくに過ぎてるよ?」
「…あっ」

15時だった時計の針は18時を指していた。
夜ご飯は19時ぐらいだから…間に合う


って


「ほ、星川、さん!?」

「そんなに驚かないでよ」

クスッと笑う金髪の少女。

「星川さんこそ、なぜ?」
「うちらの部活は明日からなの。」

星川さんは窓の方へ移動する。
風になびく、一つにまとめた金髪のポニーテールが彼女の美しさをより引き立たせている。
くるっと後ろを向く星川さん。

「ねぇ、来てきて」

寝起きの少し重い体を動かし、窓の方へと進む。

「うわぁ……」

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