Cherry Blossoms〜思惑の交差点〜
「こんなにも可愛らしい姿をした人とお見合いをしたら、きっとみんな恋に落ちてしまいますから」

「そ、そんなこと!」

一花の顔が一瞬にして赤くなっていく。そんな一花に桜士は笑いかけ、手を差し出した。

「よければ、待ち合わせ場所まで僕にエスコートさせていただけませんか?」

「えっ、いいんですか?」

「また男に絡まれてしまっては大変ですから」

「……はい」

一花はゆっくりと桜士の手を取る。一花の冷たい手を温めるように桜士は指を絡ませ、一花の歩幅に合わせて歩き始めた。

(振袖もいいけど、きっと白無垢や色打掛も似合うんだろうな)

そんなことを頭の片隅で考えつつ、桜士は一花の振袖姿を目に焼き付けた。








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