【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
せっかちなルイは、宴の開始直後に婚約破棄を突きつける筈。
長い時間待たせないから、と彼に約束した。
ただ、彼の安全も気になったから、1時間待っても私が出てこなければ、この場から立ち去って、とはお願いした。


だから、ガブリエルはそんなに待ってはいなかった、と。
優しい彼はずっと待っていたかもしれない、と。


何度も何度もぐるぐると考え続けた。
……それは王妃となり、アンリとの間に2人の王子と1人の王女を授かった今でも。


人を使って、ガブリエルのその後を調べることはしなかったけれど、どうかお幸せにと、願っていた。
愛しいひと、どうかお幸せに……。



このまま何事もなく、無事にリシャールと共にアンドレが高等学院を卒業したら。
彼にはどこかの貴族の妻を娶らせよう。
学生の頃から王太子に護衛として付いていたアンドレだ。
後ろ楯に王家が控えていたら、近衛騎士として彼の将来は安泰だ。


若かりし頃のカブリエルを彷彿とさせるアンドレは……
私にとって、手に入れられなかった彼との息子を想像させる存在になっていたのかもしれない。

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