【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
「その噂を一生懸命に流そうとした君には気の毒だけど、この学院の生徒は誰ひとりとして、それを信じていないから」

「どうして信じて貰えると思ったのかな?」

口を挟んだシャルルに、エイドリアンが答えた。


「校内案内をちゃんと受けていないから、ですよ。
 ビグローはサボって逃げていました」

「やっぱりバカだね!」


あたしのことをバカと笑いながら言うジュールを睨んだけど、この最低野郎は平気そうだ。


「バカって言わないでよ! 校内案内が何なのよ!
 それ今、関係あんの?」

「……あぁ、基本的なところから教えないと駄目なのか?
 貴族のジュールに対して、平民の君が口答えする、ってどうなのかな?」


リシャールの物言いは優しげなのに。
だけど、話してる内容は恐ろしくて。
この声優さんお得意の、腹に一物あるキャラの言い方だ。


「どうしたの……学院内では平等でしょ、
 リシャール?」


あたしの知ってるゲーム内の王太子は、明るくて正義感溢れてて……
そんな怖いこと、言わないよ?


「それも建前だ、そこまで言わないと駄目なのかな?
 それに、君には私の名前を呼ぶことは許していない。
 ドミニクに注意させたのに、全然改める気がないんだな?
 王族に対する不敬罪を適用しようか」


リシャールとジュールだけじゃない。
皆があたしをバカにしてて、全員笑顔だけど、目は笑っていない。
あたしはやっと気付いた。

逆ハーなんかじゃない。
ここはあたしが断罪される場だ。

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