【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
私は彼を癒したい。
時間がかかっても、絶対にアンリをその気にさせてみせるから。

前世がアラフォーの私的には、18歳の中身がスカスカでヒカリによろめくであろうリシャールより、質実剛健、意外に愛情深い37歳、男盛りの国王陛下に愛されたい。
私の真の攻略対象者は、彼ひとり。


何より……

『結婚は君とするけれど、その前に本当に好きな人と、恋をしたい』


3年前、リシャールから向けられた言葉を私は忘れていない。
今なら彼の言いたいことも理解出来るよ、そう宣言されても最終的には元サヤで、ってそんな小説もよく読んだから。
本当は好きなのに素直になれない婚約者……だろうが、私は絶対に無理!


だけど言われた直後は、私はクロエのままだったから。
気持ちをあからさまにしてはならない、と教育という名の訓練を受けていたので、彼にはうまく隠せていたと思うけれど、本当は物凄く傷付いた。

婚約した11歳からの私の努力や苦労、そして私という存在を否定された気がしたの。
まあ、直ぐにその場で前世を思い出したので、それ程のダメージは受けず
『王太子はこんなことを言うひとだったんだ』と、彼に対する認識が変わったというか。
リシャールへの恋心を捨てることが出来たから、それは幸いだった。
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