魔界の王子様は、可愛いものがお好き!

 するとその時、廊下の隅にあった何かに気付いて、俺はすぐさま、ヘビ男を睨みつけた。

「おい、オッサン!!!」
「はぁぁぁぁ!?」

 いきなり、オッサンよばわりされて、すごく怒ってる。だけど、俺はその場から、勢いよく立ち上がると、その先に転がっていたサッカーボールを思いっきり蹴りあげた。

 するとそれは、ドシュ!!?──と、見事ヘビ男の顔面に当たって

「ぐぁぁぁぁぁ」
「やった!」

 上手く当たった! 俺は軽く喜んだ後、ヘビ男の手から離れた人形とミーを抱えて、一階へと走りだした。

 でも──

「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!」

 逃げる俺たちの背後から、また男の叫び声が聞こえきた。

 やべー、怒らせた!
 これで、つかまったら、確実に殺される!

「顔がああああああ、私の美しい顔がぁぁぁぁ!!」

「え!!?」

 だけど、その後また男の声が聞こえてきて、俺は呆気に取られた。

(えぇ、顔!? ぶつけられたのが、そんなに嫌だった!? いうか、アンタの顔、いうほど美しくないけど!?)

 でも、顔にボールがあたったのが、よほどショックだったのか、ヘビ男は、ふらふらと屋敷の窓にもたれかかると、その後、逃げるように、屋敷の窓から飛び立っていった。

(な、なんだったんだ。あれ……)

 逃げていった男をみて、俺は、ドサッとその場に座りこんだ。

 死ぬかと思った。

 でも、安心してる場合じゃない。俺は改めてミーを抱き上げると、その体に怪我がないかを確認する。

「ミー、大丈夫か!?」
「みゃ~」

 ミーはその後、いつもと変わらない鳴き声をあげて、俺は安心して、ミーを抱きしめた。

「よかったぁぁ~」

 本当によかった。すると俺は、今度は人形に目を向けた。
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