秘密の授かり出産だったのに、パパになった御曹司に溺愛し尽くされています
「は、初めまして。母の敦子です。まぁ……すごいイケメンね」
動揺していた母だったけれど、彼の美しい姿を前にまじまじと魅入っている。
そんな彼女の姿を見て、後に待ち受ける質問攻めにさらに気が重くなった。
すると秋人は母に微笑みかけた後、自然風を装って前かごに乗っているあやめに視線を落とした。
緊張が走り、ドクッと心臓が止まりそうな音を立てる。
あやめと秋人。血がつながった親子が、初めて顔を合わせる瞬間だ。
「あやめちゃん……お熱辛いね。お大事に」
「んぅ?」
真っ赤な顔のあやめはきょとんとした顔で秋人を見上げていたけれど、突然ふにゃりと嬉しそうに表情を緩めた。
「ありあとっ、おにいたん……またね」
あやめの無垢な笑顔に、秋人と私は同時に、ハッとする。
綺麗な横顔に動揺の色が見えた刹那、彼は咳払いをして再びよそゆきの笑顔を作った。
「……うん。またね、あやめちゃん。じゃあ、僕はこれで失礼します」