元傾国の悪女は、平凡な今世を熱望する
 この部屋の主であるエルヴィス殿下は、普通科(っていっても在籍するのは貴族だけだけど)に在籍しているくせに、実は強い魔力を持っている。
 けれど、側近たちにもその事実を隠しているのか、将又単に面倒くさいだけなのか、魔法を使う案件は、全てわたしに回って来ていた。

 その癖、殿下本人は涼し気な顔をして生徒会室の中央に鎮座しているものだから、見ていて中々腹立たしい。
 まぁ、側近が王子相手に仕事を割り振るなんて、難しい話なのかもしれないけど。だったら生徒会長なんて役職を引き受けるなって話だし。


(っていうか、王子というよりキングよね、あの人)


 自分=法律というか、俺様というか……。どうやったらあんなに人使いが荒くなれるのか。あんなにも自分に自信を持てるのか。教えてほしいぐらいだ。

 最初のうちはある程度の敬意を持って接していたわたしも、段々と真面目に応対するのが面倒くさくなり、今では口調とか対応とか、結構適当になっている。


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