【コミカライズ決定】本日をもって守護騎士を解任します。悪役令嬢の運命に巻き込みたくないので。

 少しだけ、藍色のドレスを身に纏って横断幕を広げる私にエディルが笑いかける場面を想像して胸がほっこりと温かくなるのを感じる。

 十年に一回行われるこの大会では、優勝者は自らの願いを陛下と観衆の前で口にすることが許される。
 騎士として英雄になることを望むことも、深窓の姫への愛を叫ぶことだって許される。その願いを叶えることができるかは別にして、その言葉を発したことで罰せられることだけはないと神と王室が認めているのだから。

 さすがに、姫との結婚は認められないとしても、普段は決して許されない禁断の愛を誰かに告げることだって、誰一人とがめることは出来ない。

 その時、すごい勢いで扉が開いた。
 そこには、とても焦った様子の父が立っていた。

「お父様……どうなさったのですか?」

 いよいよ、修道院に行くことでも決まったのかと、私は体を強張らせる。

「シルフィーナ、謹慎は終了だ」
「え? どういうこと……」
「いいから今すぐに、一番高級なドレスに着替えて身なりを整えるんだ。陛下から緊急の呼び出しがかかっている」

 いつも公爵として決して感情を表に出すことはない只ならぬ父の様子に、足が震える。
 まだ、王太子と関わってすらいないのに、シナリオに沿って断罪されてしまうとでもいうのだろうか?
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